ブランコの周期は、大人も子どもも同じ?

公園で、小さな子どもがお父さんと並んで、ブランコに揺られています。もし同じタイミングで揺れ始め、漕がずにいたとしたら、行って戻って来るまでの時間はどちらが短いでしょうか。イメージでは、大人の方がスピードが出そうな気がするけれど、振り子の式からすると……?

物理をちょっとかじった人ほど混乱するこの問題、わかりやすく解説します。

大人と子どもがブランコに乗ったらどうなるか

ブランコに腰かけて、足を使って後ろに下がり、地面から足を放す。そうするとブランコは揺れ始めます。とある親子がブランコの隣同士に乗って、同じタイミングでこんなふうにスタートしました。漕がずに、地面に足もつかず、身をまかせてみたとしたら、2つのブランコはどんなふうに揺れるでしょうか。ひと振りを行って戻って来るまでの時間は、 どちらが早いと思いますか? それとも、同じでしょうか。

「ブランコは大人が乗った方が早いに決まっているでしょ」と答えた方が多いかと思います。体重が重い方が、スピードが出そうです。実際に誰かとブランコに乗ったことを思い出して、そう考えたのかもしれません。

しかし物理を少し学んだことのある方は、こう答えたのではないでしょうか。「行って戻って来るまでの時間は、大人も子どもも同じだよ」と。

「え!?」と驚かれた方や、「物理は取らなかったんです」「もう忘れちゃったよ」という方のために、それがどういうことか、簡単にご説明します。

ブランコのような振り子に、重さは関係ない

ブランコのように、始点を中心に揺れる振り子状のものは、行って戻って来るまでの時間(周期)が、実は重さに関係しません。何が関係してくるかというと、ブランコの鎖や棒の長さ、つまり振り子の紐の部分の長さなのです。

ちょっと想像してみてください。5円玉に紐をつけて目の前で揺らしてみましょう。 紐を長くしていると、5円玉はゆっくりと行き来します。それを短く持ち変えると、どうなるでしょうか。5円玉は、紐が長かったときより、素早く行き来します。経験的にもイメージできるのではないでしょうか。簡単な実験なので、実際にやってみてもいいですね。

それでは、この5円玉をもっと軽いもの、あるいは重いものに付け替えると、 どうなるでしょうか。こちらはイメージしにくいかもしれません。同じ形状で、重さだけが違うものに付け替えた場合、それが軽くても重くても、周期は変わらないのです(空気抵抗を考慮して、比較するものは同じ形状である必要があります)。

振り子の周期は、次のような式で求められます。

T:振り子の周期、π:円周率(決まった値)、l:振り子の長さ、g:重力加速度(決まった値)

【スポンサーリンク】

なぜこの式が導かれるかは、ここでは省略しますが、この式の中に「重さ」は入っていません。つまり周期に重さは関係しないということです。そして、πもgも決まった値なので、周期Tの違いはl(紐の長さ)にだけ依存する、ということもわかります。

つまりブランコも、周期は「体重」には影響されないということです。「行って戻って来るまでの時間は、大人も子どもも同じだよ」と言った人は、振り子の実験や式を思い出して、そう答えたのです。

体重は関係しないはずなのに、なぜ?

そうすると、公園でブランコに乗るお父さんも子どもも、「せーの!」で地面から足を放したら、同じタイミングで元の位置に戻ってきそうですね。しかし実際はどうでしょう。試してみると、その答えかわかります。実は、大人の方が早く戻って来る、つまり周期が短いのです。

これはどういうことなのでしょうか。大人と子どもの違いは、体重以外にもあります。身長です。しかし、身長の違いが、ブランコの周期にどう関係しているのでしょうか。

周期を計算する式を、もう一度見てみましょう。

周期に関係するものは、振り子の長さだけ。振り子の長さについて、もう少し詳しく考えてみましょう。振り子の長さというのは、ブランコの鎖の座面までの長さ、と思いがちですが、実はそうではありません。ブランコが繋がれた支点から、その先端部分にある重りの「重心」までの距離なのです。人間の重心をお腹の辺りだとすると、ブランコに腰かけた重心の位置は、大人と子どもとで高さが異なります。大人の方が身長が高いので、重心も高くなります。

重心が高くなる、ということは、振り子の長さが短くなるということ。そして振り子の長さが短いということは、すなわち周期が短くなるということなのです。体重の違いではなく、実は振り子の長さの違いにより、周期が異なっていたのですね。

大人の方がブランコの周期が短い理由

以上のように、大人と子どもが同じタイミングでブランコに乗ると、行って戻って来るまでの時間は、大人の方が早いということがわかりました。これは身長(重心の高さ)の違いにより生まれる差ですから、大人か子どもかというより、身長(重心)が高いか低いか、というところがポイントになります。

たとえば、まったく同じ体重で身長差だけがあるなら、身長が高い方が周期が短くなり、 体重が違っても身長が同じなら、周期は同じになります。また、座った状態より立った状態で乗った方が、周期が短くなります。

ブランコの周期は、鎖が繋がれた支点から、ブランコに乗った人の重心の位置までの長さで決まる、それを踏まえた上で、いろいろと実験してみるのもおもしろいですね。

※この記事ではわかりやすく説明するために、一部、語弊のある表現も含まれておりますことをご了承ください。身近な現象を理解し、物理学に親しむ機会となれば幸いです。 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です