遠くの花火の音は、どうして遅れて聞こえてくるの?

 

夏の夜空を彩る打ち上げ花火。真っ暗な空に色鮮やかで大きな花が咲くと、その美しさと迫力に目を奪われてしまうものです。

ところで、打ち上げ花火を見ていて、不思議に思ったことはありませんか? すぐ近くで見ていると、花火が上がると同時に「ドーン!」という音が聞こえますが、遠くの空で花火が上がると、見えてから数秒遅れて音が聞こえてきます。なぜ遠くの花火は、見えた瞬間に音が聞こえないのでしょうか。

この記事では、光と音が伝わる速さ、伝わり方の違いをわかりやすく解説し、「遠くの花火の音は、どうして遅れて聞こえてくるの?」という疑問にお答えします。

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光と音の「速さ」の違い

遠くで上がった花火が見えてから、少し遅れて音が聞こえてくる理由は、光と音の伝わる速さが違うためです。光は音に比べてずっと速く伝わるため、先に花火の光が見えてから、遅れて音が聞こえてきます。

どれくらいの違いがあるかというと、音が1秒あた340 メートル進むのに対し(時速1224キロメートル)、光は1秒あたり3億メートルも進みます(時速10億7925万キロメートル)。光は音よりも、なんと 100 万倍も速く進むのです。1秒あたり3億メートル、これはおよそ地球7周半の距離にあたります。光が放たれてから1秒の間に、地球を7週半もしてしまうというのですから、驚きです。

といっても、音の速さも、私たちの世界の中では決して遅いわけではありません。新幹線やF1マシンの最高速度(時速約300~370 キロメートル)の、およそ4倍もの速さで伝わっていきます。

音が聞こえてくるまでの時間から、距離を計算する方法

花火が見えてから音が聞こえてくるまでの秒数を計ってみると、打ち上げ地点までのおおよその距離がわかります。音は1秒あたり340 メートル進むため、聞こえるまでの秒数に340をかけると、音が発生した場所からの距離がわかるということです。

たとえば、音が聞こえるまで5秒かかったとします。『距離 = 速さ × 時間』の式を用いて次のように計算します。

打ち上げ地点までの距離
= 音の秒速 × 音が聞こえるまでの時間
= 秒速340メートル × 5秒
= 1700メートル(= 1.7キロメートル)

5秒遅れて聞こえてくるということは、約1.7キロメートル離れていることです。かけ算なので、遠ければ遠いほど、伝わるのに時間がかかるということもわかります(音が伝わる速さは気温などの条件によって変わるので、『約』という言葉を使いました。詳しくは後ほどご紹介します)。

光と音の「伝わり方」の違い

それではなぜ、光は音よりも速く伝わるのでしょうか。それは、光と音の伝わり方の違いにあります。

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まず、音は空気中の分子の振動により伝わっていきます。空気中には、私たちが呼吸を通して体内に取り込む酸素や、吐き出した息に含まれる二酸化炭素といった分子や原子がただよっています。音は、『音の粒』のようなものが存在するわけではなく、空気中の分子を振動させ、それが隣り合う分子をまた振動させる、ということを繰り返して伝わっていきます。

たとえば、糸電話で離れた場所にいる相手の声が聞こえるのは、糸が振動することにより声が届くためです。また、私たちの耳に音が聞こえるのも、音という粒が耳に飛び込んできて働きかけているわけではなく、空気中の分子の振動が鼓膜に伝わり、鼓膜が振動することによって音が届くためです。

一方、光は電磁波の一種です。電磁波というと難しく聞こえますが、実は私たちの生活の中にあふれていて、電子レンジやラジオ、Wi-Fi、IH調理器など、様々なものに利用されています。

電磁波は、電界と磁界が互いに影響し合いながら空間を伝わっていきます。何かを振動させるわけではなく、『光の粒』そのものが突き進んでいくイメージです(光は波の性質と粒子の性質を持っているため、ここでは『粒』という表現を使いました)。

粒そのものが進んでいくのと、物の振動が伝わっていくのとでは、どちらが速いでしょうか。直感的に、粒そのものが進む光の方が速い、とおわかりいただけるかと思います。光は音よりも速く伝わっていくのです。

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どんな日に音は速く聞こえるの?

音の伝わり方は気温などの条件によって変わる、と述べましたが、気温がどのように影響してくるのか考えてみましょう。気温が高いということは、空気中の分子の動きが活発だということです。分子が振動すればするほど温度が上がる、ということは、感覚的に掴めるのではないでしょうか(詳しくは熱力学の内容となります)。

これまでにも述べている通り、音は空気中の分子の振動によって伝わっていきます。分子の振動が激しければ、それだけ音も伝わりやすくなります。すなわち気温が高い方が、音が伝わるのも速くなります。

もし冬に上がる花火があるとしたら、同じ場所で見ていても、夏よりもさらに遅れて音が聞こえてくるということになります。また、音の速さは湿度にもわずかに影響し、湿度が高い方が速くなります。音が速く聞こえるのは、夏の暑い日、さらに湿度の高い日ということになります。

ちなみに、固体や液体の中も音は伝わります。水の中に潜っていても、音は聞こえますね。伝わりやすさの順番は、固体、液体、空気(気体)の順番です。音は分子の振動で伝わるため、固体のようにぎっしり詰まったものの方が隣の分子との距離が近く、振動が伝わりやすいためです。空気中と水中とで比べると、水中の方が4倍近く、速く伝わります。

遠くの花火の音が遅れて聞こえる理由

以上のことをまとめると、遠くの花火の音が光に比べて遅れて聞こえる理由は、光よりも音の速さの方が遅いからです。そして、光よりも音の速さが遅いのは、光は電磁波であり、光の粒そのものが突き進むのに対し、音は空気中の分子の振動によって伝わるためです。

遠くの空で花火が上がるのが見かけたら、音が聞こえるまでの時間を、ぜひ計ってみてください。そして距離を計算し、○○キロメートル離れているんだな、だったら△△の辺りで打ち上げているのかな、と考えてみてください。物理が身近なものに感じられるでしょう。

※この記事では、わかりやすく説明するために、一部、語弊のある表現も含まれておりますことをご了承ください。身近な現象を理解し、物理学に親しむ機会となれば幸いです。

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