蝶の羽根や翅には色々な色彩があるね、どのような仕組み?構造色ですか?

綺麗な色をもった蝶がたくさんいますね。この色はどのようにして発現するのでしょうか。今回は原理も含めて一歩突っ込んで判りやすく解説したいと思います。

色彩

なぜ色々な色があるのか、また、どうして私たちがその色を見ることができるのかを理解しておきましょう。
太陽光線にはいくつかの色が元から含まれています。この色々な色が合わさって、私たちには「白」に見えます。光の色の基本は「光の3原色」と言われる、赤、緑、青の3つです。これら3色の光を組み合わせることによって、ほとんどの色が再現できます。私たちが普段見ているテレビやコンピューターのモニターもこの3つの色の小さなライトが光っているものです。

光の3原色。3色が重なると、白くなります

絵の具で遊んだ人は「え?全部混ぜたら黒になるよ?」と思うでしょう。私たちが使う絵の具や色鉛筆は少し違った結果がでます。例えば、カラープリンタではシアン、マゼンタ、イエローの3色で全ての色を表現しています。この場合、色を全て混ぜると、黒になります。色素が入っている絵の具やインクは、光とは違い、他の色を吸収してある特定の色を反射しているため、全てを混ぜると、全ての色を吸収してしまうため、黒になってしまうのです。

カラープリンタの3原色(シアン、マゼンタ、イエロー)。全部あわせると、黒になります

蝶の翅の色について見てみましょう

蝶の翅に色があるのは、色のついた鱗粉が翅についているからです。翅自体に色がついていることは珍しく、その成分であるキューティクルは透明か薄い茶色をしています。一つ一つの鱗粉はふつう、ひとつの色でできています。鱗粉が持つ色には、下にある、主に2つの種類があります。

色素による色

蝶の鱗粉にはいくつかの色素が含まれています。この色素は、大まかにまとめると、次の四つのグループにまとめられます。
メラニン系色素・・・蝶で最も利用されている色素です。主にチロシンやドーパミンといった成分から蝶の体内で合成されます。メラニン色素系には、次のような種類があります。
ユーメラニン・・・黒色
フェオメラニン・・・茶色
オモクローム系色素・・・主に赤色から茶色の色素で、主にトリプトファンという成分から色々な酵素と反応して合成され、アカタテハやキタテハで見られます。また、タテハチョウ科の羽化するときの蛹便の色もオモクローム系色素によるものです。オモクローム系の色素には、次のような種類があります。
パピリオクローム・・・黄色~赤茶色(キヌレニンから合成され、主にアゲハチョウで利用されています)
3ヒドロキシキヌレニン・・・黄色(ドクチョウに見られる)
キサントマチン・・・黄色~茶色(ドクチョウに見られる)
ジヒドロキサントマチン・・・赤色
ロードマチン
プテリン系色素・・・プテリン系色素はグアノシン三りん酸から合成された色素で、色々な昆虫で利用されています。蝶の翅ではシロチョウ科とテングチョウ亜科で確認しています。プテリン系色素には次のようなものがあります。
セピアプテリン・・・黄色
ドロソプテリン・・・赤色
フラボノイド系色素・・・フラボノイド系の色素は植物に多く見られます。主な色は黄色、赤、青があります。ブルーベリーなどに含まれ、眼に良いとされているアントシアニンもフラボノイド系の色素になります。フラボノイドは体内で合成できないので、植物から摂取する必要があります。
フラボノイド・・・白色、黄色。ジャノメチョウ亜科、シジミタテハ科、シジミチョウ科、アオスジアゲハ族、ウスバシロアゲハ属、ジャコウアゲハ族といくつかのコバネシロチョウ亜科で確認されています。
ケルセチン・・・白色。ジャノメチョウ亜科の属とイカルスシジミから検出。
トリシン・・・白色。ジャノメチョウ亜科の属とヒメヒカゲの一種から検出。
この他にもアオスジアゲハの青色に代表されるテトラピロール系色素、ベニモンアゲハの赤色で知られるキノン系色素などが確認されています。

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鱗粉の形による色・・・構造色

多くの蝶の翅の色は構造色と呼ばれる、光のしくみを利用しています。鱗粉の中には、光の中の特定の色だけを物理的に反射させるものがあります。
構造色を理解するためには、鱗粉の形をまず見てみましょう。ソケットにささっている鱗粉は、拡大すると紙のようにぺちゃんこではなく、複雑な構造を持っています。表面の面には何本ものスジのような「羽」があり、その間は穴が開いていたり、羽を支える構造があったりします。鱗粉の裏側は、通常何も無い板となっていて、表と裏の板の間には「柱」がいくつもあります。
この構造色を持つ鱗粉の構造も大まかに6種類のものが見られます。
モルフォ型
鱗粉の羽の部分に均等的に何枚もの薄片(ラメラ)が張り出して、光を反射します。明るい青を反射し、斜めから見ると紫っぽくなる特徴があります。
フクロウチョウ型
鱗粉の羽の部分に細かい筋が入り、光を反射します。
アオジャコウアゲハ型
鱗粉表面全体に細かい筋が入り、つやのある感じを出します。
ウラニア型
鱗粉の内部に薄い膜が重なり、光を反射します。
ミドリコツバメ型
鱗粉内部で細い柱が格子状になっているもの。
ザルモキシス型
鱗粉表面に小さな不規則な構造があり、光を乱反射します。この場合、短波長の青色が多く反射し、長波長の他の色は吸収され、青色を発します。この青の事をチンダルブルーと呼びます。

蝶の輝く羽根は一体どんな構造になっているのでしょうか

まるで発光しているかのような鮮やかな羽を持つチョウや、見る角度によって羽の色が変わるチョウなど、世界中には個性的な色のチョウが存在します。チョウの羽が輝いて見える現象は「虹彩色光沢」と呼ばれているのですが、一体なぜ虹彩色光沢が生まれるのかという疑問を、解説しています。
チョウの羽に含まれる物質は、グラフェンを3D化したような構造です。グラフェンは、炭素原子が原子1個分の厚さで強く結合したシート状の物質で、熱伝導率や電気の伝導度に優れています。
チョウの羽を構成する物質を顕微鏡で見ると、「ジャイロイド」と呼ばれる3次元の構造体で、極小曲面を成しています。グラフェンの上では電子が2次元方向にしか移動できませんが、チョウの羽の内部では電子が3次元方向への移動することが可能です。
この物質はキチンという多糖高分子で、カニの殻の主成分でもあるほど固く丈夫な物質です。鮮やかな羽を持つチョウは、羽を構成するキチンがジャイロイド形状を取っています。ジャイロイドの形状は少しずつ異なるため、羽に太陽光が当たると、羽の内部で光が複雑に屈折して通り抜けて、羽がキラキラと光って見えるというわけです。
実際にチョウの羽を顕微鏡で見てみると、ジャイロイド構造の層がさまざまな方向に重なっているのが分かります。
ミドリシジミはその名の通り緑色に輝く羽をもつチョウです。
なお、チョウの羽の他に自然界でジャイロイド構造を持つものとしては、水と混ぜた油が水面でひとつにまとまる際にジャイロイド構造をとることが分かっています。

蝶の翅にも細かなしかけが施されていますね。ほんとうによくできていますね。

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