
みなさんは今までに何回あくびをしたことがありますか?
人の1日の平均あくび回数は7~8回だそうです。
気付かないうちに、結構あくびが出ていますね。
あくびが出る理由として、脳の酸素が不足するとエネルギーも足りなくなることから、あくびで酸素を取り込んでいると言われていました。
でも近年の研究で、あくびと酸素不足は無関係という事が分かりました。
まだまだ大きく謎に包まれているあくびについてですが、現在の仮説や分かっていることを順番にご紹介していきます。
【あくびってどんな時に出るの?】

昔から「あくびは怠けている証拠だ」と言われ、先生や親に大あくびをして、怒られた経験がある人もいるのではないでしょうか。
退屈な時や寝不足の次の日、お腹がすいた時などいろんなシチュエーションであくびは出てきますが、そのメカニズムは実はよく分かっていないそうです。
どんなタイミングであくびがでるのか、詳しく見ていきましょう
・緊張しているとき
あくびをすることで顔の筋肉が大きく動くと、緊張がほぐれリラックスモードに切り替わります。
緊張している状態から心と身体を解放するために、脳が本能的に起こすのがあくびという事です。
でも、大事な会議や面接中だとちょっと困ってしまいますね。
・身体が変化するとき
あくびは身体がONからOFF(その逆も)に切り変わる際の、スイッチのような働きがあるようです。
例えば朝目が覚めて起きる時や、続けていた運動を止める時などあくびをすることによって脳に働きかけ身体をモードチェンジをしている可能性があります。
・眠ってしまうのを防ごうとしている時
あくびの定番と言えば、眠い時です。
生活の中で、今は眠ってはいけない!という場面はたくさんありますよね。
あくびをすることによって、血液や体温が調整され脳が目を覚まします。
どうやら眠気との戦いに打ち勝つために、あくびが発動されるシステムになっているようです。
脳もしっかりTPOをわきまえていますが、残念ながらたまに眠気に負けてしまうときもありますよね。
【あくびと身体の関係】
ではあくびをする時、身体にはどんな変化が起こるのかここで説明していきます。

・脳のクールダウン
人が疲れを感じるときは、脳が「これ以上、体や頭を使い続けるとダメージが出ますよ」という警告の1つと言われています。
疲れを感じている時は脳がとても活発に動いているので、オーバーヒート寸前の状態です。
あくびには、脳へ送られる血液の温度やスピードをコントロールする働きがあるので、興奮し温度が上がりすぎてしまった脳をクールダウンさせる役割があると考えられています。
それと、人間の身体は深部体温(内臓や脳の温度)が急激に下がることによって、眠気が引き起こされます。
朝なかなか起きられない時にも、あくびはたくさん出ますよね。
これは、あくびには下がりすぎてしまった深部体温を、正常な温度になるまで調整する機能もあるからです。
1日で見ると、身体の体温の変化が大きくなるのは朝と晩です。
その時間帯は特に体温調整の役割を担っている、あくびがたくさん出るのも納得ですね。

・顔の筋肉のストレッチ
みなさんはあくびをするときにとても大きく口を開けますよね。
その時に顔全体の筋肉がストレッチされます。
顔の筋肉は脳との連携がとても強く、緊張や怒った時など顔色が変わっていきますよね。
これは顔にリラックスや興奮をする際に使われる自律神経がたくさん集まっているからです。
あくびをすることにより筋肉や自立神経の緊張を取り、心身共にリラックスをさせようとする脳の働きがあるようです。
ちなみにあくびの時に、筋肉が上の方までギュッとストレッチされると、涙も一緒に出てきます。
あくびもちゃんとした理由があります。
今度あくびをして怒られた時は、ぜひこの知識を活用してくださいね。
【あくびはどうして人にうつるのか】
さていよいよ本題です。
電車に乗っている時やお友達と一緒に遊んでいる時に、相手があくびをし始めると
自分もあくびをしてしまったという記憶はありませんか。
実はこのあくびがうつるという現象、正確にはまだ解明されていません。
4歳児以下には、この「あくびがうつる」という現象が起きないことから、これは心理的要因があるのではないかと仮説が立てられています。
現在、最も有力な説は、人間の「共感力」が関わっているという事です。
人の気持ちや感覚を読み取って寄り添う事を共感力と言います。
つまり、ほかの人のことを自分のことのように感じられる、心優しい人にあくびがうつりやすいと言えるのかもしれません。
もしあなたがあくびがうつりやすいのならそれは、共感力が高く優しいという事なので恥ずかしがることはありません。
あくびがうつった人がいたら、ぜひ教えてあげてくださいね。
また、あくびがうつるのは人間だけではなく、チンパンジーも同じようにうつったと研究報告されています。
チンパンジーは人間でいうと4歳ぐらいと言われているので、共感力も備わっているのかもしれませんね。
【あくびはコントロールできる?】
ここまではあくびのタイミング、効果などいろいろと紹介してきましたが、どうしてもあくびをしてはいけない時の対処の仕方をお伝えします。
・仮眠をとる
この方法は疲労も取れるため、一番オススメです。
仮眠をとる際の注意事項は
1. 30分以上睡眠を取らない
30分を過ぎると睡眠が深くなっていくので、起きた時にスッキリ感が出にくいです
2. なるべく15時までに仮眠を取る
この時間までに15分ほど仮眠をすると夜の睡眠を少し早く先取り出来る為、睡眠負債が溜まりにくいです。
・保冷材で冷やす
この方法は出来る時が限られていると思うのですが、一番手っ取り早くあくびを止められます。
保冷剤で冷やす場所は、もちろん脳のある頭です。
保冷剤がすぐ手に入らない場合は、涼しい部屋に移動するというのも一つの手段かもしれません。

・呼吸方法
① 鼻から吸って吐く、鼻呼吸
決まったパターンの呼吸法を行う実験で、鼻呼吸をしたグループだけあくびの数が圧倒的に少なかったという研究結果がありました。
理由は、鼻呼吸をすることにより空気が脳を冷やすためだと言われています。
② 横隔膜を動かす呼吸
リラックス効果が高い呼吸法なので、緊張時のあくびに最適です。
肋骨に手を当て、思い切り口を開け空気を吸い込みます。
口を閉じおなかと鼻下まで風船のように空気をパンパンに膨らませたら、少し止めて5秒かけて息を吐き出します。
呼吸法は実践が簡単なので、ぜひ試してくださいね。
まとめ
・あくびってどんな時に出るの?
・あくびと身体の関係
・あくびはどうして人にうつるのか
・あくびはコントロールできる?
また「生あくびと」呼ばれる、眠くない時に出てしまう要注意なあくびが実は、深刻な病気が進行しているサインという可能性もあるので、下のポイントを少し意識してみてください。
・日中にずっと絶え間なく出てくる生あくびは、自分では気づかない間に、無呼吸症候群を発症している可能性があります。
・あくびと共にめまいがある場合は、脳へ血液が回りづらくなっている可能性があるので脳梗塞や血栓が疑われます。
・あくびと一緒に頭痛や吐き気がある場合は、偏頭痛を起こしていることがあります。
いずれの場合もこのような症状が頻繁に起こる場合は、神経内科の受診をおすすめします。
あくびについていろいろご紹介してきましたが、あくびは脳からの指令でその時の身体からの必要なサインです。
あくびがしたくなったときは大きく伸びをして、自然に任せましょう。
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